背部痛・脇腹・肋間神経痛
背部痛・わき腹痛・肋間神経痛
背部・腹部の痛みなどで悩んでいる方が、今、増えております。一般的には、肋間神経痛と診断されることが多いですが、症状が出る部位は、あばら、脇、みぞおちが痛いなど、本当に人それぞれで、痛む姿勢や動きも違い、程度ももちろん異なります。一番多い痛みは背中ですが、症状の進行具合により、みぞおちの近くが痛むようになります。肋骨が背骨からスタートとして、肋間神経が背中から腹部、みぞおちの方へ走っているからです。
背部・腹部の痛みは、他の疾患が原因であることも考えられるので注意が必要です。特に、背部の痛みには肋間神経痛以外にも骨髄腫瘍、骨折(脱臼・狭心症・圧迫骨折、後縦靭帯骨化症・膵臓癌・膵炎)など危険な背部痛もあります。咳をするだけでも骨折する場合があります。症状が強すぎたり長期間続いているようであれば内科や整形外科を受診し、検査の結果、異常ない場合は、当院を受診下さい。
背部・わき腹・肋間神経痛の治療法
背部・腹部の痛みで代表的な肋間神経痛は、神経障害性疼痛に分類され、神経の傷みが原因です。神経障害性疼痛は、原因となるものが取り除かれた後にも痛みが続き、痛みが慢性化するという特徴を持っています。痛みが慢性化すると、その痛みのストレスがさらに原因となり、心理的要因による痛みを引き起こすきっかけとなります。リラックスを心がけて、神経や筋肉など体をほぐし自律神経のバランスを整えると痛みが和らぎます。
また、背部・腹部の痛みで関節に由来する痛みには、関節を正常にする手技療法が効果的です。
神経ブロック療法
痛みの伝達に関わっている神経に局所麻酔薬を注射することで、神経の伝達を遮断し、痛みを軽減します。麻酔薬の効果は2時間程度ですが、神経を一時的にでも休ませることにより「痛みの悪循環」と呼ばれる痛みを慢性化する仕組みを遮断するため、その後も効果が持続します。痛みのある病気だけでなく、全身の血行改善を行い、血液中の酸素や栄養分と共に自然治癒力を助ける免疫物質を全身に供給するので、多くの病気に効果があります。
手技療法
●関節アプローチ療法
関節の動きを正常化させることにより、痛みを軽減する手技療法です。
痛みの原因となる関節を手技により正常な状態に回復し、関節が原因で起こる痛みやしびれを取り除き、関節の運動障害を改善します。
背部痛の症例1
1来院までの経緯 (47歳 女性)
突然、原因不明の背部痛に襲われ、内科や整形外科で精密検査をしたが異常がないと言われた。しかし、背中の痛みが段々ひどくなってきて、最近では一日中背部痛と胸の圧迫感や息苦しさもあり、就寝も困難な状態で、当院を来院された。
2治療経過
背部痛の多くは明確に診断できるような画像診断的異常がなく臨床的症状が少ないことから、原因がわからず病院を転々とされるケースが多いです。当院では、圧痛部位に一致する椎間関節を触診で確認し、胸椎椎間関節ブロックを行うことで、痛みの原因が椎間関節なのか、椎間板なのか、交感神経依存性疼痛なのか、判断が可能です。この方はブロックにより痛みが緩和され非常に有効でしたので、椎間関節由来の背部痛であることがわかり、安心されました。この様に胸椎椎間関節ブロックは、MRIなど最新画像診断でも発見不可能な原因や部位を的確に診断でき、大きな意義があります。
3考察
背部痛は肺や心臓など内蔵の病気の場合があります。精密検査により異常がない場合、ペインクリニックでの治療対象となります。又、ストレスによる自律神経失調症で背部痛が生じる場合もありますので、正確な診断を行うことができる医師にかかることが最も重要となりま
背部痛の症例2
1来院までの経緯 (55歳 男性)
朝起きた時、寝違えて後頚部~肩甲部の上背部に痛みが発生した。整形処方の湿布で一時的に痛みは緩和していたが、次第に耐え難い激痛や指にしびれを感じるようになり日常動作にも支障が出てきたので当院を来院された。
2治療経過
寝違えによる筋損傷後に一定治療を行っても回復しない場合、筋膜(筋肉を被う膜)の異常が要因にあげられ、トリガーポイント注射が劇的な効果をもたらします。この注射を行うことで
(1)局所麻酔薬により痛みを感じなくして脳への痛みの信号を遮断
(2)交感神経の興奮を抑えて血流を増加
(3)痛みを増強する物質を洗い流す
等の効果により痛みが改善しました。
3考察
トリガーポイントの注射手技は、医師のもつ技術と経験の差が治療効果に大きな差が生じる手技です。当院では指で慎重に皮膚を圧迫してトリガーポイント(ツボとほぼ一致)を見つけ、背骨の周りの筋膜直下で針を止め薬液を注入し抜針をゆっくり行うことで東洋医学の針治療と同じ経穴効果が得られます。又、非常に細い注射針(採血針の1/4)を使用し熟練の医療技術で行うので痛さはほとんど感じず安心して受けて頂けます。
肋間神経痛の症例
1来院までの経緯 (60歳 女性)
長年肋間神経痛に悩まされ、年々痛みが増し、今では息をするのも横になるのも痛く、痛みでうずくまることもある。当初は原因がわからず病院を回ったが内臓や骨に異常がなく肋間神経痛と診断を受けた。投薬や理学療法等をしても良くならず、来院された。
2治療経過
肋間神経の根元である背中の背骨の両側の筋肉が非常に硬く、その筋肉の硬直による圧迫や刺激が原因で肋間神経痛が生じていたため、原因となる胸椎に神経ブロック注射を行い症状が緩和。まさか背中に原因があると思わず驚かれたが、長年の原因不明の肋間神経痛が上半身を支える背中の筋肉を酷使し発症することが多いと知り、安心されました。
3考察
肋間神経痛とは肋骨に沿って走る神経が何らかの原因で痛む症状のことを言います。内臓や骨に異常がない場合、原因不明のものが多く、病院を渡り歩かれるケースが多いです。原因不明の肋間神経痛の多くは、肋間神経の根元にあたる背中の背骨(胸椎)の神経が、圧迫など何らかの刺激を受けて、痛みが引き起こされる場合が多いです。
脇腹痛の症例
1来院までの経緯 (52歳 男性)
ゴルフで体をひねり、脇腹に激痛が走り、整形外科で脇腹の肉離れと診断された。湿布など投薬で一時的によくなったが、その後脇腹の鈍痛がとれなかった。内科等で検査したが異常なく途方にくれ来院された。
2治療経過
脇腹の痛みは、内臓の検査や骨のレントゲンなどで異常ががなければ、ペインクリニック領域となります。この方の場合、痛みは脇腹に出ていますが、ゴルフで体をねじった時に、脇腹の根元にあたる背中の胸椎関節に異常を来したことが原因で、それに対する治療を全然行わなかったため痛みが慢性化したと考えられます。よって、胸椎関節の異常を改善させる神経ブロック注射を行いました。又、同時に背部にリハビリ療法、胸椎関節の動きを正常にする関節アプローチ療法を行うことで症状が劇的に緩和され、喜ばれました。
3考察
脇腹痛は、その根元にあたる胸椎関節の異常により生じることが多い上、レントゲン検査では胸椎関節の異常が発見されにくいので、それがかえって脇腹の痛みを長引かせる原因となっています。“内臓・骨に異常がない=原因不明”ということで病院を渡り歩くうちに慢性化する場合が多いため正確な診断を行うことができる医師にかかることが最も重要です。